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【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第3回 「コンテンツとアプリケーションの分離」
ペーパーレス。こんな言葉が流行ったのはとうの昔のこと。本当かな?と思いながら、ペー パーレスをやろうと思ったけど、いいツールが日本では見つからない。米国では自分の机に おいてドキュメントをすぐにスキャンできるような小型スキャナやら、グループで共有でき る高速なスキャナがありました。共有できるスキャナがあるということは、そのスキャンし たデータを格納するファイルサーバが当然のごとく装備されているということです。さらに、スキャンしたデータへのアクセスはIDとパスワードで管理されています。スキャナを使ってドキュメント管理を効率化する。そのためにペーパーレス化する。ペーパーレスはペーパーレスが目的ではありません。紙はドキュメントワークフローを回す過程 で利用されるツールに過ぎません。単なる省スペースだけでペーパーレス化してしまうと単 なる電子化されたゴミが生まれるだけです。
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日本で最初に"ペーパーレス"という言葉が登場したときには、少なくともドキュメント管理の効率化を目指したファイルサーバ、データベース、検索ツール、アクセス管理等の環境が十分に整っていなかったことは確かです。ストレージを使ってもらい、サーバもスキャナも使ってもらうビジネスを考えていましたが、当てが外れてしまいました。と言うよりも、そんなアプリケーションが普及するような気がしなかったのでビジネスに踏み切れなかった、というのが正直なところです。本当はやりたかったんですけど。
個人的には、ドキュメントフィーダー付両面カラースキャナ、本をスキャンするためのフ ラットベッドスキャナ、名刺スキャナと3台もスキャナを持っています。そうそう、会社には ポータブルスキャナがもう一台。私の机の隣に置かれています(忘れてました)。
スキャンしたデータはインデックスをつけないと管理できないので
・ファイル名を意味のあるものにする
・OCRで自動認識させた文章をデータとしてPDFに含ませておく
・フォルダに分類して保管する くらいのことは最低限のマナーです。
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これでもデータを使いこなすには全然足りないのでデスクトップサーチを使って強引に検索して探し当てることになりますが、最近はなぜか、なかなか探し出せないことが増えてきました。考えてみれば、自分の興味のあるものを中心にデータ収集しているのでキーワー ドが重複して意味のある検索が難しくなってきたのかも知れません。
意味のある検索ができない。"意味"なんて人によって違うので、そもそも"意味のある検索" なんていう行為自身を定義することが難しすぎます。概念検索という技術がありますが、その ツールを私の"頭の中"の思考にチューニングしないと、自分の思うような検索はきっとできま せん。もし、うまくチューニングできたら、それはそれでちょっと怖いことになりそうです。Aさんにチューニングしたツール、Bさんにチューニングしたツールが何を検索して見つけてくるのか。なんか、裸で人前にさらされているようで恥ずかしい。
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さて、どうしよう。インデックスをたくさん貼り付けてリンクを張りまくろうか、もっと キーワードを増やそうか、ショートカットのコピーも張りまくろうか。どんなことをしても見つからないデータが山のように増えてきます。今でもそうなんだから。ディスクが大容量化しているので、ゴミと化したデータがあふれ出していないだけです。なんとかしないと。
名刺スキャナにも非常にお世話になっています。名刺管理アプリケーションもようやく使い こなしている段階に到達、と思ったら、そのソフトがディスコン(販売、サポート中止)になったことを先日知ってしまいました。かなり落胆。OCR機能でほとんどの属性データは高い精度で自動的に付与されていたので非常に便利です。さらに、メモ欄にはキーワードを埋め込んで検索しやすいようにしていたのに。
よし、データ・マイグレーション計画発動だ。でも、調べれば調べるほどマイグレーションができそうもありません。個人が使うようなツールなんてデータ・マイグレーションまでしっ かりと考えていなくても当然、かも知れないけど、データって大事なんだよ、どうしてくれる んだ、と興奮してソフト・ベンダに怒鳴り込みたい、でも、SIer、ソフト・ベンダとして"身 につまされる"ので、そんなことは出来ません。
こうなったら後顧の憂いがないように自分でソフト、作っちゃったら、なんて言う人がいます。 うん、昔取った杵柄で作ってしまおうか、と思った次の瞬間、やっぱり止めよう、疲れるし、最近、そこまで元気がない。作ったら大変です。メンテナンスしないといけないし、バグでデータが無くなってしまったらどうするんです。怒る相手もいません(笑)。パッケージがいいに決まっています。多分、私の"やっつけ"アプリケーションよりも少しは出来がいいでしょ。
名刺管理アプリのディスコンの問題が思わぬところで身に降りかかってきて今更ながら思うのは、データ(コンテンツ)とアプリケーションの分離が大事なことです。コンテンツはアプリケーション の持ち物ではありません。データがオープンなインターフェイスを持っていると、コンテンツとアプリケーションの対等な関係が生まれて、"お気に入り"アプリケーションが増えるような気がします。
JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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